「泊まる場所」の社会的価値を数値で可視化へ Sumu、SBI新生銀行のアドバイザリー支援で地域活性化と防災の指標を策定

アパートメントホテル「Sumu powered by Airbnb Partners(以下、Sumu)」を展開するSumu株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:福島大我、以下「Sumu社」)は、新たな指標体系を策定し、運用を開始します。この指標体系は、Sumuが目指す「社会的インパクト」と、その創出に向けた取り組みの進捗を把握するためのものです。策定は、株式会社SBI新生銀行(本社:東京都中央区、代表取締役社長:川島克哉)のアドバイザリー支援のもとで行われました。SBI新生銀行にとって、社会的インパクト不動産を対象とするアドバイザリー支援は今回が初めてです。
指標づくりの土台は、国土交通省の「社会的インパクト不動産」実践ガイダンスです。Sumu社は、ホテルという不動産だからこそ担える社会性・公益性を「地域活性化」と「地域の防災・災害対応力の向上」の2本柱に整理しました。さらに、活動から成果、地域へのインパクトまでをロジックモデルという一本の筋道でつないでいます。そのうえで、幅広いKPI候補の中から、継続的に取得できる定量指標を中心に優先指標を絞り込みました。計測は、運営中の「Sumu Ueno East」と、2026年10月に開業した「Sumu Asakusa South」から始めます。泊まる人とまちの変化を、数値で可視化していく考えです。

ホテルは「まちのいちばん開かれた不動産」
働き方の多様化や多拠点生活者の増加などにより、「暮らす」と「泊まる」の境界が揺らいでいます。人がひとつのまちに関わるかたちも、大きく変わりつつあります。Sumuはこうした変化を受け、中長期の滞在を前提に「暮らすように泊まる」体験をつくるアパートメントホテルです。ホテルは住宅やオフィスと異なり、日々入れ替わる多様な人を受け入れ、地域の商店や人との接点をつくります。運営スタッフと設備が日常的に稼働し続ける点も特徴です。Sumu社は、この「開かれた構造」こそがホテルという不動産の強みだと考えています。平時には地域へ人と消費をつなぐ入り口となり、有事には人を守り受け入れる拠点となりうるためです。
一方で、こうした社会的な価値は、稼働率や収益とは異なり、すぐには数字に表れにくいものです。国土交通省は2023年3月に「社会的インパクト不動産」実践ガイダンスを公表し、「不動産が生む社会的インパクト」を「不動産の価値向上」につなげる考え方を示しました。Sumu社はこの考え方に基づき、SBI新生銀行のアドバイザリー支援を受けながら、共通の指標づくりに取り組んでいます。Sumuの活動がもたらす社会的な変化を可視化し、その変化を計測・開示できる状態を目指しています。

「地域活性化」と「防災」の2本柱
今回の評価指標は、国交省ガイダンスが示す社会的インパクトの全体像を踏まえて定められました。そのうえで、Sumuが独自性を発揮できる社会性・公益性の領域を2本柱としています。この2本柱は、Sumuが独自性を見出し、もっとも力を入れていく領域でもあります。
地域活性化:暮らすように泊まることが、まちを豊かにする
Sumuは、空き家・老朽住宅、オーバーツーリズム、地域の情報発信の弱さといった課題に、中長期滞在型の宿泊と地域と連携した運営で応えます。主な取り組みは次のとおりで、旅行者と地域住民の相互理解と、地域経済の活性化を目指します。
- 地域の飲食店と子どもたちをつなぐ「Sumuごち」
- 地域の商店・老舗との企画
- 地場のものづくりを館内で使い、紹介する「キュレーター」の役割
防災:泊まる人を守り、運営を止めず、地域の拠点になる
防災は、次の3段階で実装します。1つ目は、土地勘や言葉の壁をもつ国内外の宿泊者を守ること。2つ目は、災害時にも運営を継続すること。3つ目は、自治体・地域と連携して一時的な受け入れ拠点になることです。あわせて、スタッフ研修と備蓄の標準化(Sumuクオリティ)を進めます。また、多言語の地域マップ・案内も整えます。これは平時には「まちを楽しむ道具」として、有事には「身を守る道具」として使えるものです。こうしたノウハウは、地域の宿泊事業者へも広げていきます。

「測り続けられる数字」を主軸にした指標設計
各柱では、「活動 → 短期の成果 → 中長期の成果 → インパクト」をつなぐロジックモデルを用いています。これにより、Sumuの活動が目指す社会的インパクトにつながる道筋を整理しました。KPI候補の検討では、国交省ガイダンスに加え、国際的なインパクト評価の枠組みも参照し、幅広く候補を抽出しています。参照したのは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)やIRIS+(アイリス・プラス)などです。そこから、Sumuの事業特性や継続的な取得可能性などを踏まえて優先指標を選定しました。指標は、早く動く運用データ(先行指標)と、あとから表れる成果(遅行指標)の2軸で整理されています。
主軸となるのは、継続的に取得できる定量指標です。滞在者の実感などは、定性スコアで補完します。たとえば先行指標には、地元商店紹介実施率や多言語地域マップの完備率といった運用データを用います。遅行指標には、滞在満足度スコアやリピート利用率といった成果を置きます。これらを継続的にモニタリングしていきます。さらに、「インパクト測定・マネジメント(IMM)」の考え方も取り入れ、その実施体制の検討を進めています。IMMは、計測した結果を今後の運営や新たな拠点開発に生かし、取り組みを継続的に見直していく考え方です。
Sumu社は、平時にまちとの関係を積み重ねているからこそ、有事にも頼れる存在になれると捉えています。地域活性化と防災は、Sumuにとって1つの関係性の表と裏という位置づけです。独自指標の候補としては、「Sumuだから受け入れられる被災者数」や再訪・推奨意向を置いています。こうした指標を通じて、この関係性そのものを数値化していく方針です。

今後の展開:2030年までに都内約30拠点を目指す
指標は、優先度の高いものから各拠点で運用を開始します。計測結果は、今後インパクトレポートなどで開示していく予定です。Sumuは2030年までに都内約30拠点の展開を目指しています。新たに開業する拠点にも共通する基本的な指標体系を適用しつつ、各地域の特性に応じて指標を検討・見直していきます。そのうえで、拠点ごとの変化を比較・蓄積していく計画です。
出典:Sumu株式会社










